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 2004年11月20日更新

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南部流酒造工程

酒坂本
 日本酒は米、水、麹、そして発酵という自然界の力を借りて造られます。原料となる米にさまざまな加工、作業が施され、最終的には日本酒に姿を変えます。ここでは石鳥谷町立歴史民俗資料館の資料をもとに、南部杜氏の歴史・特徴と共に昔ながらの手づくりの酒造りをご紹介します。

酒坂本
南部杜氏の歴史と特徴小見出し

 南部杜氏の歴史は古く延宝六(1678)年に近江商人の村井権兵衛が、摂津(大阪)の池田から杜氏を招いたのがきっかけだと言われています。当時摂津では池田流の技術を用いて、「池田酒」の名で全国に知れわたっていました。

 以来、近在の農民に酒造技術が伝わるとともに、積雪によって閉ざされる農村地帯の季節的な労働として冬季の酒造りはこの地、石鳥谷に定着しました。その後、石鳥谷のお酒が南部藩主の御膳酒として盛岡に運ばれることとなりました。

 旨い酒を造るためにはさまざなな条件が求められますが、古くから「一麹、二酒母、三醪」と言われるくらい大切なのが、麹造り工程です。この麹のでき具合が酒質に大きく影響することとなります。南部の地は、昔から寒冷で積雪地帯であったため、工夫に工夫を重ねて酒造りが行われてきました。

 その風土によって杜氏たちの技と勘が研ぎすまされ、南部独自の旨い麹の作り方を身に付けたと言われています。この南部杜氏の評判を聞きつけ、10年ほど前からそれほど縁がなかった関東以西の中部、関西の蔵元でもその技術を受け継いだ杜氏たちが現在活躍しています。それゆえ、南部杜氏が日本最大級の杜氏集団であることがわかります。

酒坂本

1.精米

 玄米の表層部や胚芽には、脂肪、タンパク質、ミネラル、ビタミン等の栄養分が沢山含まれています。これらの成分はあまり多いと酒の香味のバランスを崩してしまいます。そのため、表層部を削り取り、過分の栄養分を取り除くのが精米です。

 一般に精米の度合いが高い程、口当たりが柔らかく、香味の調和のとれた良い酒が出来ると言われています。中には、吟醸酒のように精米歩合が40%(原料玄米の60%の糖を取る)などと言う特殊な造りもあります。

酒坂本
2.米研ぎ(洗米、浸漬)

 精米した白米の表面には、米の粉が付着していますので、蒸す時に蒸気の通りが良くなるよう、これを洗い落としてやるのが洗米(米研ぎ)です。洗米中、白米は水を吸いますが、消化の良い蒸米を得るためには、まだまだ不足で、さらに水を漬けて、吸水させるのが浸漬(しんせき)です。

 浸漬の時間は米の品種や精米歩合等により全くまちまちで、この時間をどう見極めるかが蔵人の腕の見せどころです。

酒坂本
3.蒸かし取り(蒸し米)

 浸漬した米は甑(大型のセイロ)などで蒸かし、蒸米にします。米のデンプンを麹の酵素が分解しやすくする作業です。

参考文献:『南部杜氏』石鳥谷町教育委員会

甑
名称

甑(こしき)
用途 米を蒸かすための桶。釜の上にのせ、甑の底には釜より発生した蒸気を取り入れる穴が開いていて、そこから蒸気を甑内に入れ蒸米します。

参考文献:『南部杜氏』石鳥谷町教育委員会

つまご
名称

つまご
用途

蒸かし終わった蒸米を甑内から取り出すには、甑中に入らなければならないので、火傷をしないように履く稲藁製靴。

長靴と短靴とがあり、短靴の場合には、酒袋を靴下として着用してからこれを履きました。

酒坂本
4.麹造り

 蒸米を麹室(こうじむろ)に入れ、2昼夜かけて麹を造ります。この間切り返しや積み替えなどの作業を繰り返し、麹菌の食いの状態を調整します。昔から「一麹、二酒母、三造り」と言われる程大切な工程で、麹の出来・不出来は酒質に大きな影響を与えます。

参考文献:『南部杜氏』石鳥谷町教育委員会

麹蓋
名称

麹蓋(こうじぶた)
用途 麹米を盛り込む浅い箱状の容器。麹菌の繁殖による発熱、水分、炭酸ガスの調整のために1枚の麹蓋に約2kgの麹を分散堆積し、空の麹を蓋として、2枚1組として使用します。

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5.もと摺り(酒母造り)

 麹と蒸米、水、酵母を混ぜて醪(もろみ)の元となる酒母を仕込みます。10日前後で熟成します。アルコール発酵を司る酵母菌を、純粋に強健に、大量に育てるのが酒母です。

参考文献:『南部杜氏』石鳥谷町教育委員会

もと卸桶
名称

もと卸桶(もとおろしおけ)
用途

蒸米、麹、仕込み水を集め入れ、もと(酒母)を育成するための容器。又、山卸廃止もと、速醸もとの育成にも使われます。

もともと、もと育成は壷で行っていたせいか、壷の代わりの桶という意味で「壷代」とも言います。

酒坂本
6.仕込み

 酒母に麹と蒸米、水を加えて仕込みます。酵母の繁殖をはかるため3回に分けて仕込むのが普通で、それを3段仕込みといいます。1回目の仕込みを初添え(はつぞえ)、2回目を仲添え(なかぞえ)、3回目を留添え(とめぞえ)とそれぞれ呼びます。

酒坂本
7.槽掛け(搾り)

 仕込みから20〜25日間の発酵を終えた醪は、清酒と酒粕に分離するために搾ります。この工程を槽掛け(ふながけ)と言い、清酒の誕生の時です。

参考文献:『南部杜氏』石鳥谷町教育委員会

酒槽
名称

酒槽(さかぶね)
用途

醪を詰めた酒袋を並べ重ねて胴蓋をのせ、圧搾機により圧搾し、酒を搾る槽。

酒袋は、最初、槽の中に出口に対して直角に並べ、積み重ねていき、酒袋の高さが槽の上縁に達すると、層枠を槽の上にのせて、さらに、酒袋を積み重ねます。

酒坂本
8.火入れ、貯蔵

 しぼりたて生酒等のような特別の酒を除いて、造り終えた清酒には「火入れ」と呼ばれる低温殺菌(62℃位)が施され、密封状態で4〜6ヶ月程度の貯蔵期間が置かれます。その後、出荷前にもう1度加熱殺菌します。

酒坂本
9.詰出し

 瓶や樽、陶器に詰めれれ製品化された清酒は、販売店に運ばれ商品として店頭に並べられます。

参考文献:『南部杜氏』石鳥谷町教育委員会

瀬戸樽
名称

瀬戸樽(せとだる)
用途 主に、吟醸酒などの良質酒の出荷容器。小売店頭に並べ飾られ、宣伝展示の意味ももたせて使用しました。店頭においては、呑口より小出しされ、小売販売もされました。



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